« リリースラッシュ | トップページ | 雑感~シアターブラヴァ~ »

「コンフィダント・絆」を見てきた

 先日、「コンフィダント・絆」を見てきた。大阪のシアターブラヴァまで。最近どたばたしていて、見に行けるかどうか微妙だったが、どうにか行けた。当初は大阪に泊まって、次の日はゆっくりショッピングの予定だった。(マダーアッカとか…ウンナナクールとか…行きたいところはいっぱいあったのよぅ)今回は芝居を見る以外何一つできず…帰りは最終新幹線に飛び乗り…(久しぶりに全力疾走したぞ)でも、その甲斐はあった。今まで見た芝居の中でも最高!私は三谷の舞台作品を「彦馬が行く」(生)「君となら」(TV)「東京サンシャインボーイズの罠」(TV)と見たが、今作がダントツで良い。本当に良い時間が過ごせた。

 舞台は19世紀末のパリ。古いアパートの一室のアトリエに4人のが肩を並べて絵を制作していた。画家の名はジョルジュ・スーラ、ポール・ゴーギャン、フィンセント・ファン・ゴッホ、そしてクロード・エミール・シュフネッケル。シュフネッケルが近くのカフェの店員ルイーズを絵のモデルにと連れてきたところから、物語は始まる…

 話はストーリー性がありながらも、随所に笑いがある良質のコメディ。ゴッホがゴーギャンに甘える姿や、スーラのルイーズへの態度(そしてそこから派生するどたばた劇)は爆笑モノ。客席から笑いが絶えることはなかった。そして、ラストは泣ける展開…

 三谷幸喜の舞台作品は全員が主役と言えるが、今作もそう。中井貴一が演じたスーラは点描を確立した画家。存命中に世に認められたが、早逝。死後に妻子がいたことが分かるなど秘密主義。性格は冷静でプライドが高い。そういった人物像を中井がコミカルに演じている。彼を起点にコメディ的展開が繰り広げられる。ポール・ゴーギャンは寺脇康文が演じていた。誰でも一度は見たであろうタヒチを題材にした絵を作ったゴーギャンは、とにかく色っぽい男。性格も絵も豪快で繊細、乱暴でありながら優しいという複雑な人物像。寺脇はまさにセクシーで誇り高く、どこでも生きていけるたくましさを持ち、芸術の前では正直なゴーギャンを体現。ものすごく色っぽかった。好人物であり、物語をより清涼感あるものにしている。世界中の人が知っている画家、ゴッホ役は生瀬勝久。ワガママで子供っぽく、不器用で、絵に全てをかけつつも全く世に出られないという役はまさにハマリ役。物語を大きく動かすのはゴッホ。その重要な役のおかしみと悲しみの両方を見事に演じている。相島一之が演じたシュフネッケルは、遂に世に出ることなく終わった画家。凡庸な才能しか持たない。しかし、自分が才能が無いことになかなか気づかない、少々おめでたい鈍感な人物だ。しかし同僚であったゴーギャンを絵の道に誘うきっかけを作り、アトリエをスタートさせ、3人の世話をし続けた。そんな癖のある人物の間を縫い物語の語り部でもあるルイーズ役は堀内敬子。元劇団四季だけに歌もうまく、セクシーで、表情豊かでコミカルだった。

 全員の個性がうまくぶつかり、解け合い物語を転がしていく。2時間40分の上演時間があっという間だった。スーラ、ゴーギャン、ゴッホといった超個性的な人格に、奔放なルイーズが絡み、絶妙の展開。中井、寺脇、生瀬の存在感が秀逸。そこに堀内の存在がアクセントとなり、目が離せない。正直言ってシュフネッケルは目立たない。しかし、終盤にシュフネッケルのキャラクターが生きてくる。まさに陰の主人公。相島の誠実な演技がすばらしかった。私は最後は涙が出てきてどうしようもなかった。相島演じるシュフネッケルに感情移入した人は相当多いと思う。凡庸な人物にも温かい目線を忘れない三谷ならではの人物描写だ。

 音楽はピアノの生演奏。ピアニストの荻野清子さんもところどころ(突出しない程度に)お茶目な仕草をされていた。生演奏の力はすばらしい。場面場面に適した演奏だったのでは?

 ラストシーンは最高だった。温かくて、切なくて。舞台が終わった後は、拍手が鳴りやまなかった。アンコールは3回はあった。徐々にスタンディングオベーションの数が増え、最後には全ての人が立っていたように思う。笑い有り、涙有りのすばらしい舞台だった。こんなに良いものを8列目の真ん中で見れた。本当に幸せだった。ぜひ、多くの人に見て欲しいと思った。金額以上の価値のある舞台だ!!!

<PLAY>☆☆☆☆☆「コンフィダント・絆」

|

« リリースラッシュ | トップページ | 雑感~シアターブラヴァ~ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« リリースラッシュ | トップページ | 雑感~シアターブラヴァ~ »