書籍・雑誌

今週の読書「ボクは坊さん。」白川密成(10ミシマ)

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 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。写真はお正月アレンジです。松、梅、葉ボタン、黄金シダ、スイトピー、シンビジューム、千両、餅草だそうです。お正月だから張り込んで豪華なのを教えてもらいました。1週間以上元気です。
 やっと厄脱出です!いろいろ脱出したいことが今年はいっぱい。今年は心地よい空間を身に置いてみたいものですheart04年末は吉備津神社の裏山に登ったり、走ったりしました。その前に2週間近くナゾの体調不良だったので、ちょっと体力が戻ってうれしいです。体力つけて、変化に備えたいです。今年の反省を元に・・・

  ・プライベートは行動的!
  ・人との関わりをおそれない!
  ・体力増強
  ・全力を尽くす仕事は人を見て、分からない人は分からないからながす(あまりに・・・な人が自分自身それに気がついてないと結構めんどいです。)

 さて、新年初ブログのお題は読書で。
昨年、最も気に入った本の一つです。昨年は有川浩さんの一連の作品も楽しかったですが、エッセイ系ではコレがベストです。
ボクは坊さん。

 四国88カ所の若き住職のご本です。ほぼ日刊イトイ新聞の連載がかたちになったもののだそうです。本を読んだあとほぼ日の方も拝見して、本の方がより読みやすく、直接的に胸に届きました。24才にして住職になられたミッセイさんの日々は私が勝手に想像した辛気くさそうな(失礼!)イメージのお坊さんの日常とはほど遠く、いきいきとしています。
 特に学生時代の話は興味深かったです。おそらく同年代アラサーのミッセイさんは大学ではテニスをされていたりフツーの人の日常と変わらないという印象です。ただ、起こることが高野山大学ということで、場所の特殊性からか、少し違うというぐらい。でも、ミッセイさんにかかるとクスリとほほえむような日常に早変わり…お坊さんの修行中の食生活は珍しく、興味惹かれます。また、高野山という宗教都市独特の話も。お坊さん独特のカットをしてくれる散髪屋さんの話はもおもしろかった。他校に「ぼーさん、ぼーさん、ぼーさん倒せ!」ヤジられるテニスの試合での高野山大学独特の対抗策なんかは是非読んで欲しい!痛快です。
 また、お寺での住職としての日常も行動的です。お坊さんの野球チームやお坊さん同士の交流もあるようす。また、お寺での工夫も素晴らしい。お寺で結構かっこよさそうなTシャツも作ってらっしゃったり、そのほか様々な仏教を身近に感じるような物や手段を考えていらっしゃる。新しく演仏堂なる建物も建てられるようです。仏教を身近にする方法をミッセイさんらしくいきいきと取り組んでいらっしゃる姿が感じ取れる気がします。
 正直、私の日常と仏教はそんなに近いわけではないです。観光旅行でお寺に行くぐらい。ただ、お寺のぴりっとした空気は好きです。たぶん私の年代ならその程度じゃないでしょうか。でも、心が弱って旅行に行くときは自然と神社仏閣や自然の元に近づきたいと思います。私の中でも知らず知らず何かを求めていたのかもしれません。そんなときにこの本と会ったのはすごく良かった。私が本当に求めるのが何か分かりませんが、でも、考える契機にはなったと思います。
 この本を読んで感じたことは「肩を張らず日常に息づく」というのがミッセイさんの考える仏教のあり方じゃないのかなと感じました。そして、それはすごく素敵な気がします。一つの仕事に肩を張らず積極的に取り組んでいる姿も好感が持てます。
 お仕事エッセイとしても、青春エッセイとしてもすごく楽しめます。おすすめです。
 栄福寺の演仏堂ができたら、ぜひ拝見したいものです。

<BOOK>☆☆☆☆☆「ボクは坊さん。」白川密成

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先週の読書~「名残り火 てのひらの闇Ⅱ」藤原伊織(07文春)

 藤原伊織さんの遺作です。

 名作「てのひらの闇」の続編です。今はもう無いかつての職場タイケイ飲料での親友・柿島を突然の事件でなくした、堀江。一見オヤジ狩りの被害にあったかに見えるが、疑問を抱く。柿島の死にはコンビニ業界・食品業界を巡る闇が潜んでいた。

 堀江の不良中年ぶり、元部下の大原真理のかわいらしさ&かっこよさ。破天荒なバーのオーナー奈美…大好きなキャラクターが変わっていないのがうれしい。まずはキャラクターで読ませるので、前作を呼んでおく方がよい。しかし、ミステリーのストーリー自体もしっかりしている。そして、電通に身を置いていた藤原氏ならではの業界に対する深い知識が(その上、マニアックすぎない)エッセンスとなり、非常に読み応えがある。特にコンビニ業界については近年話題も多いので、リアリティがある。経済小説が好きな人にも是非読んで欲しい。

 奥書によると、本作は連載小説であるが、藤原さんは病床で加筆修正をしていたようである。しかし、途中で食道ガンで亡くなってしまった。従って本作が最後の作品であろう。藤原さんが描く男性像は破天荒でいい加減でしかし、芯が通っていて魅力的だった。もう、藤原さんが描くちょいワルな親父たちがみれないのかと思うと残念きわまる。

 藤原さんのご冥福を心よりお祈りします。

 できれば多くの方に藤原作品をもっと読んでいただきたい。

<BOOK>☆☆☆☆★「名残り火 てのひらの闇Ⅱ」藤原伊織

名残り火  /藤原伊織/著 [本]

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先週の読書~「君が降る日」島本理生(09幻冬)~

 島本さんの最新作。今回は彼女にとってハードルが高い、という「恋人の死」がテーマ。

 まず、表題作の「君が降る日」。大学生の志保は恋人の降一を交通事故で失う。降一と同乗していた五十嵐は生き残るが…店を経営している降一の家を手伝い始める五十嵐だが、志保はなかなか五十嵐を受け入れられない。やがて五十嵐は就職の時期を迎え、福岡へ。その福岡に向かう志保は…

 島本さんらしい文体で内容自体はヘビーだが、重さを持ちつつも透明感がある。再生といえるほどの段階を描いていないが、人間のしたたかさはかいま見える。いかなることがあっても、やはり人は死ぬまでは生きているのだ。とそんなことを思った。話自体はそんなに好きなテーマではなかったが島本さんの文体にふれたのが久しぶりで、心地よかった。

 表題作の他には「冬の動物園」「野ばら」という短編が入っている。

 「冬の動物園」は結婚を期待していた恋人に振られたばかりのOL美穂と、同じ英会話教室に通う森谷君とのかわいらしいラブストーリー。さわやかで読んでいて楽しい小説。

 「野ばら」は高校生の佳乃は仲良くなった同級生の祐の兄、聖人に恋心を抱く。二人暮らしの祐と聖人の家に足繁く寄るようになった佳乃だが、妹の深雪を連れて行ったことからズレが生じ始める…ハプニングは類型的だが、若さの鈍感さが生むすれ違いが切ない。

 2編の短編の方が私は好きですね。余談ですが、表紙も中表紙も切り絵がキレイheart04

<BOOK>☆☆☆★★「君が降る日」島本理生

 君が降る日

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先週の読書~「機能不全家族」 星野仁彦(07アートヴィレッジ)~

 久々の読書記録です。本は読んでいたんですけどね…ブログを書く余裕があんまりなかったんですsweat02

 心療内科医の星野氏の本を読みました。

 体系だってAC(アダルト・チルドレン)が学びたい方には向きませんが、敷居の高い精神系の障害や特徴を導入的に知りたい方には向いていると思います。

 最初はADHDやアスペルガー症候群の疑いがあるアインシュタインやレオナルド・ダ・ヴィンチなどを取り上げて興味を引きます。

 どちらかというとコラムを集めて本に仕上げたような印象で、偉人から市井の人まで、発達障害もLD・ADHD・アスペルガーなど幅広い。あまり構えることなく読めるので、障害について理解を深めたい人の入門としては肩に力が入らないので良いと思います。

<BOOK>☆☆☆★★ 「機能不全家族」 星野仁彦 アートヴィレッジ

機能不全家族#アダルトチルドレン#

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CGH!

久々に漫画にはまりましたheart01

小池田マヤさんの「CGH!」。カクタス、ゴートゥーヘブンの略だそうです。(他にも意味はあるみたいですが・・・読んでからのお楽しみ)

CGH!(1)

一巻が古本屋においてあり、読んでみたらこれがおもしろい!あらすじは・・・

平凡な女子大生の日向子は彼氏にふられて一人イタリアに卒業旅行をする羽目に・・・ひったくりにあったところを、美形の日本人マキオに助けられ、めくるめく一夜を過ごす。帰国したら、就職予定の会社が倒産!再びの就職活動で、ついに最終面接へ。面接会場にいたのはマキオと美形の副社長。ただしマキオはとんでもない格好をしていて・・・

キャラは濃い、美形揃い、そして、全員が本音で勝負!な話なんで、好き嫌いはあるかも?ですが、かなりおもしろい。小池田節爆発ですshineおすすめ!

読み終えた後に気がついたんですが、コレ、四コマじゃないですね。同じ作者の「バーバーハーバー」や「・・・すぎなレボリューション」はストーリー四コマなんですが。小池田さん引き出しが多いなあ。

<comic>☆☆☆☆☆CGH! 小池田マヤ

CGH!(2) CGH!(3) CGH!(4) CGH!(5)

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今週の読書「八月の路上に捨てる」伊藤たかみ(06文春)

 2006年の芥川賞受賞作品です。伊藤さんの本は初めてと思っていましたが、著者の略歴を読んでみると、「ぎぶそん」を読んでいました。「ぎぶそん」もどうにもならない青春感が好きでした。

 さて、本書のあらすじはと言うと・・・8月の暑い中、中年女性の水城さんと自動販売機に飲み物を運ぶアルバイトをしている僕は、離婚をしようとしていた。仲良し、とかではないがどことなく心を開いている水城さんに離婚の話をし始める僕・・・。妻の知恵子とは大学時代の同級生。脚本家を目指してアルバイト生活を続くル僕と結婚した。知恵子は編集者でそれなりに稼いでいたが、人間関係に疲れ、次第に心を病み、仕事を辞める。知恵子の稼ぎに依存していた生活だったため、僕はアルバイトを増やす。何となく、脚本家の目はないと悟り始めていた僕は、知恵子のリタイヤは良い口実だったのかもしれない。次第に心がずれていく二人。ついに離婚になるが・・・

 あらすじで結構書いたが、二人の心のすれ違いは読み応えがある。安定感のない二人、どことなく大人になりきれていない二人は読んでいて胸が痛い。わかっていても、不安定な仕事や収入は心までも不安定にさせていく様が、現在の情勢とも相まって、胸に迫る。しかしもっと切ないのは人の心のずるさと危うさ。誰にも危うさを胸に持ちつつ生きていることをふと正視することがある。そういうことを喚起させる話だと思う。

<BOOK>☆☆☆☆★「八月の路上に捨てる」伊藤たかみ

八月の路上に捨てる  

 

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今週の読書「ほどけるとける」大島真寿美(06角川)

 大島さんの本は初めて読みます。

 この本の印象はゆるゆるとした感じ。あらすじはと言うと・・・美和は高校を中退し、祖父の家業である銭湯でアルバイトをしている。しかし、意欲があるわけでもなく、ほかのアルバイトもあっさりやめたため仕方なく、である。そんな美和だが、銭湯に足繁く通う客とゆるゆると交流を持ち始める。常連の佐紀さんの仕事関係の人、君津さんとつきあい始めたり、大和湯のマッサージルームでマッサージをしたり。社会性0に見えた美和もゆっくりとほどけるように前に向いていき出します。

 エネルギーにあふれた話ではないけれど、いつの間にか歩き出している。そういう話です。今は前を向く元気がない人にもおすすめします。

 また、大島さんの作品を読んでみたいです。

<BOOK>☆☆☆☆★「ほどけるとける」大島真寿美

ほどけるとける

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今週の読書「ダーティ・ワーク」絲山秋子(07集英社)

 連作短編集です。いろいろな人が主人公で登場しますが、最終的には熊井望とTTを中心に回ります。

 熊井望はギタリスト。スタジオミュージシャンとしてギター中心のシンプルな生活をしている。取っつきにくく、男っぽい性格だ。男とつきあったりもするが、基本的に頭にあるのは仲間として音楽をやっていたTTのこと。よく似た二人だが、あることが原因で別離した。

 望とTTの再会は意外な形で訪れます。そこからの二人の寄り添い方は好きです。出だしの乾いた感じからの、ラストは救いがあります。個人的に小説は主人公を愛せるか、だと思っています。熊井とTTは愛すべき人物だと思います。

 ちょっと疑問なのが表題と中身が私の中で一致しませんでした。なぜだろう?

 音楽好きの方はおすすめ。ギターやらベースやらが出てきて楽しいです(と思う)。

<BOOK>☆☆☆☆★「ダーティ・ワーク」絲山秋子

ダーティ・ワーク

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今週の読書「めぐみ」栗原恵(08実業之友社)

 最近、風邪気味です。鼻水が出たので風邪の友、ルルゴールドを飲んで寝たら、のどが渇いてしょうがないです。でも、鼻水は止まってます。野菜をしっかりとって体調管理がんばりますscissors

 さて、ただいまVリーグ開幕中。以前に2度岡山シーガルズのホーム、岡山で試合があったのをきっかけにVリーグを見に行ったことがあります。今年も一度見に行く予定ですup

 で、気になったのが、日本代表で、パイオニアのエース、栗原恵さんの著書。栗原さんの経歴はバレーボール選手でも異色。広島県の能美島出身で中学校でバレーボールの強豪校へ転校するため、一人暮らし。高校は中国地方の中でも強豪の山口県の三田尻女子高校へ。社会人では当時は圧倒的な強さを誇るNECへ。日本代表に選出され19歳でオリンピック出場、Vリーグで戦うも、NEC退社。パイオニアレッドウィングスに移籍。1年の出場停止の後、選手生命に関わる故障。故障を克服後、北京オリンピック出場。輝かしくも波乱に富んでいる。

 著書でも、その時々の気持ちがつづられていて、まじめでストイックな人柄が伺えます。まず、中学生で一人暮らしをしてまでバレーを選ぶところから根性がある。そして、高校での「笑う訓練」。確かに厳しい部活では笑ってはいけないような雰囲気があります(ちなみに私、ド下手ですが、中学時代は部活一筋でした。殴られるなんてフツーの雰囲気でした)。そのためにいつの間にか笑えなくなっていた・・・どれだけ打ち込んでいたか、わかるエピソードです。そして、NEC退社。当時はひどく驚きましたが、自分のプレースタイルを見つめ、最もあうところに移籍という決断というのが、立派。彼女のバレー人生は節目節目で自分で決断するところが好ましい。

 彼女はそのルックスの良さからアイドル視される傾向が強いですが、なかなかにプロ意識が強く、バレーに対する上昇意識はすごい!ますます磨きをかけて欲しいな、と思います。個人的な希望ですが、いつかはイタリアのプロリーグ等に行って欲しい。著書でもふれられているサッカーの中田英寿さんのように。彼女のようなタイプは海外でのプレーもあっていると思います。そして、日本代表をもっと高いところに押し上げて欲しいと思います。

 余談ですが、岡山シーガルズの選手があんまり笑わないのが残念です・・・スパイクやブロックを決めたときは意図的にでも笑って欲しいなー。高校生の部活みたいで寂しい。

<BOOK>☆☆☆★★「めぐみ」栗原恵

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著者:栗原 恵
販売元:実業之日本社
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先日の読書「海の仙人」絲山秋子(新潮)

 先日読んだ「北緯14度」で、絲山さんの夢の中で海の仙人が出てきたという、フレーズが出てきました。昔の小説の登場人物が何で、という感じだったと思います。そんなにまで、潜在意識にあるのなら、思い入れのある話だろうなと思い、手に取りました。

 東京のデパートを退職し、宝くじで手に入れた3億円を元に、敦賀で一人暮らす、河野勝男。働くでもなく、無人島にわたって釣りをしたり、料理をしたり、ゆったりとひっそりとでも不思議と根を張って暮らしている。そんな河野の下にあまり役に立たない神様「ファンタジー」がやってきます。なんとなく居候になるファンタジー。そんなとき、岐阜の住宅メーカーで働く中村かりんと出会い、付き合うっているようないないような、でも心温まる、なんとも不思議な関係を築く。そんなとき、東京のデパートでの同僚片桐妙子が訪ねてくる。友達を訪ねる旅をしているという・・・

 かりんも妙子もそれぞれ特徴が違って魅力的。同じくキャリアを重ねた女性だが、仕事にかなりの労力を割いているかりんと、豪快で仕事でもそれなりのキャリアがあるもののそんなに思い入れのない妙子。この二人の影の魅力にひかれてぐいぐいと読めます。もちろん、寄り添うだけで役立たずの神様(なんか、遠藤周作が読みたくなった。役立たずって言っちゃ失礼なんですが。)のファンタジーの存在感と一見へなちょこだけれど、譲れないもののある(でも芯があるとも違う。しなやかさがある感じ)河野も愛すべきキャラクターです。この4人の織りなす話は文句なく面白いです。「沖で待つ」と同じくらい印象的で面白い小説でした。

<BOOK>☆☆☆☆☆「海の仙人」絲山秋子

海の仙人 (新潮文庫)  

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